陰翳礼賛を読んだ

 

陰翳礼讃

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日本の陰影を文化として、美学として谷崎潤一郎が語る。写真付きの本もあり、カメラマンは大川裕弘。

 

陰翳は日本だけにあるものではない。陰翳に惹かれるときや陰翳の魅力を語れる人は多いだろう。外国は街も部屋もどことなく薄暗く、薄灯りの食卓の印象がある。

それはそれとして、日本の陰翳ってどういうものなのか。この本に書かれた日本の陰影の素晴らしさはわかる、とてもよくわかり興味深くおもしろい。そしてページの途中に挟まれた写真に纏わりつく光と影がうつくしい。

 

この本は昭和8年頃に書かれたようで、この時点で日本はもう壊れるという。2024年の現在も何かと日本は壊れると耳にすることがある。日本ってどうなってんだよって思う。そこには世代格差の思考もありそのことも記述されているのだが、どうなんだろう。長期のデフレの中で”単純に壊れる”と”時代変化の壊れる”を感じていると思う、思うのだが明確なものではないのでなんとも言い難い。本に記述されている床の間や漆塗りの椀に存在する日本料理の伝統やら文化をどのくらい持っているだろうか。遠い過去に生きていていたわけでなく時間を遡り体験できるわけでなく素直に日本が壊れるってどうなんだろうなと思うわけである。

ここには深層心理的な日本の悲観的な陰翳も含まれているのだろうか、などとうっすら感じた。

 

陰翳礼讃

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